演技の喜びを探求する、俳優・声優養成所「ヴォイス&アクターズ道場」

見えない壁(前田一樹)

演技を学び始めて2年目。
数字や成績なんかでは表せられないものなので、
自分が成長しているのか否かというのはなかなか分かりにくい。
ですが、ふと成長を感じることがあったりもします。

僕が最近それを感じられたのは、
少しずつですが自分の課題が明確に分かるようになったことです。
一年目では全てが始めてで、自分には何が足りないのかというより、
何があるのかという事でいっぱいいっぱい。
しかし、徐々に自分には何があるのかが見えてきたら
次に見えてきたのが「壁」でした。

この「壁」というのが面白いもので、
そこにあるという事は分かっても明確にどんな「壁」なのか知ることは難しい、
だけど明確に分かると、同時に乗り越えるための作業の半分は
終わっているみたいなのです。

幸いにも「壁」を乗り越えるための支えとなってくれる人が
ここには佐藤さんを始め先輩方など多くいるので、あとは…自分次第!




【祐一からひとこと】
数学などと違って正解が一つでない世界だからこそ
「迷う」こと自体に価値が大きいのだと僕は日々感じています。

良い車にはハンドルの遊び(余裕)があると言うけれど
俳優の演技にもその「遊び」は必要で、それはなぜだろうと考えると
人生にも唯一つの正解、なんてあり得ないからなんだなと
(ちょっと話しが大きくなっちゃうけど)。
お客様が俳優(声優)の演技を味わいたがるのは、そこに自分を投影させたいから。
こんなことに悩んだり凹んだりするのは「私だけじゃないんだ」って思いたいから。
だから「これっきゃないでしょ!」って断言するような演技よりも
どこか演技者自身も迷いながら演っているような表現の方を
愛してくれるんじゃないかな。
自分が年齢を重ねるにつれてその思いが強くなっていってます。

どんなに迷っても悩んでも唯一の答えなんて出ないけど
迷いながら自分に問いながら、でも一生懸命自分と向き合っている
そんな存在で僕自身あり続けたいです。

僕が一樹くんと同じ、演技レッスンを始めて約1年半の頃、
今の一樹くんのような迷いや悩みを持つ余裕すらありませんでした。
「壁」を感じるゆとりもなかった。
この一年でいろいろなことを感じ考えてくれた成長の証拠だと思います。
自分を省みると改めてビックリしています。

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