演技の喜びを探求する、俳優・声優養成所「ヴォイス&アクターズ道場」

僕が道場を引き継ぐまで(2/2)

助清さんとの別れ

僕は助清さんが順調に快復されることを微塵も疑わなかったし、
助清さんご自身もそうに違いありませんでした。
大好きな道場のレッスンに復帰するのを何より楽しみにしていらしたので、
二人の間で代講の期間は特に設定せず、
毎月末に「悪いけど来月も代講を頼む」と連絡をもらい、
僕の方は、いつ助清さんが復帰されてもすぐに道場をお返しできるよう、
スケジュールを空けた状態でヴォイス&アクターズ道場を守り、
充実したレッスンを展開することに専念していました。
一任されていることに誇りを感じてもいましたし、
何より、助清さんにとって“役立つ自分”でいたい気持ちでした。

僕が助清さんと最後に連絡を取ったのは1月20日。
その頃にはメールの文章も短く、電話の声も小さくなっていたけれど、
前向きな闘病姿勢に変わりはなく、
絶対に全快してみせるという意気込みは確かなものでした。

そして、容態が急変してしまった26日早朝、
肺に空気が入っていかなくなってしまったときも、
意識ははっきりしていたそうです。
奥様が聞き取れた最期の言葉は「くそ、負けるもんか」。
意識ある状態で呼吸が出来なくなり、
どんなに苦しかったかを思うと胸が痛みますが、
最後の最後まで前向きに、快復を目指して闘おうとしていたのだと、
奥様からうかがって確信しました。
「負けるもんか」よくぞ言ってくれたと感じます。

道場、そして今後への想い

助清さんが旅立ってしまいヴォイス&アクターズ道場とその門下生たちが
宙に浮く形になってしまい、どうすべきか悩みましたが
・ご遺族に負担はかけない
・今後も道場にいることを希望する門下生を放り出したりしない
この二点を念頭に置き今後の道を探しました。
助清さんから依頼された昨年1月以来、
熱心に演技の喜びを探求する門下生たちにレッスンすることに
僕自身とても強い遣り甲斐を感じていましたが、
それ以上に精神的に支えになったのは、
助清さんが、退院したら今後は僕と二人で道場を主宰していきたいと
考えていらしたと奥様からお聞きしたことでした。
初耳で驚きましたが、大変光栄でした。胸の中に柱が立つ思いでした。

ヴォイス&アクターズ道場のレッスンは、
今後も僕が責任持って継続していきます。
自分がこういうレッスンを受けたかったと思う私塾を展開します。
助清さんが考案された練習法の素晴らしいところはそのまま残し、
僕らしさをプラスしながら
「助清さんが開かれた道場」として、これからも前進していきます。

今回、僕が道場を引き継ぐにあたり、ホームページは新しくしましたが、
助清さんが作成された、演技への情熱と、
夢を持ち続けることへの共感に満ちたこのホームページも
そのままご覧いただけるよう保存していきます。
http://sukekiyo.jp/

助清さんが旅立たれてしまい本当に淋しい。繰り返し悲しいです。
今でも悪い夢の中にいるような気持ちですが、
自分は、前向きさと演技熱を確かに助清さんから教わったのだという
強い実感もあります。本当にたくさんのパワーをもらいました。

「すがりたい誰かを失うたびに、誰かを守りたい私になる」
昔聴いた歌の詞が、こんなに胸に沁みるとは思いませんでした。
これまでもらってきた、教わってきたことを伝えていきたいです。
全力で「ヴォイス&アクターズ道場」をやっていきます。

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