お久しぶりです。花組の石神貴之です。
今回はレッスンだけではなく、観劇で感じたことについて。
ここ最近、佐藤祐一さんを通して舞台公演の案内をいただき、
二本の公演を観劇させていただきました。
一本目は下北沢のGeki地下リバティにてSelah Japan Produce「楽屋」という舞台。
女性の4人芝居で、ある劇場の楽屋を舞台にしたお話でした。
90分と比較的短めのお芝居でしたが、
女優4人のパワーに圧倒されながら楽しんでいたら、
あっという間に終わってしまっていました(笑)。
舞台美術・音響・照明も一体感が素晴らしく、
自分もその中に入り込んだようでうっとりしてしまいました。
小劇場の魅力ですね。
それから一週間後、今度は紀伊國屋サザンシアターという大きな劇場で
劇団民藝の「神と人とのあいだ 第二部 夏・南方のローマンス」。
東京裁判で戦犯として裁かれた兵隊とその妻子・恋人のお話でした。
こちらは休憩を挟み2時間強と長めのお芝居。
歴史的な出来事とそれに揺れ動く人々を描いた作品で、重厚で見応えがありました。
どちらもお話の中で様々な出来事・登場人物・戯曲の名前や
台詞などが出てきたのですが、即座にその価値が感じられました。
(勉強不足は棚に置いておきます…汗)
全く違うお話ですが、共通して伝わってくるパワフルさ、
情報がすっと身体に入ってくるのは何故だろう…と考えたのですが、
台詞、一挙手一投足、表情、視線、
全部にしっかりと情報が乗っていたからかと思います。
ひとつひとつに意味があり、なんとなく表現されていることなんてない。
そんな印象を受けました。
煙草の吸い方や消し方など、
こんな表現の仕方があるんだな…と驚くことも多かったです。
ふたつの公演で会場の大きさは全く違っていましたが、
小さな呟きから怒鳴り声まで、しっかりと言葉が聞こえてきました。
劇場の大きさも踏まえて演技の大きさも変わっているのだな、ということも感じました。
まさに今、楽屋と同様の4人が中心となる芝居のシーンスタディを行っており、
しっかりと流れや形ができて仕上げに入ろうかという所なので、
それと照らし合わせると…ものすごく反省点が出てきました…(汗)。
自分は劇場の大きさを想定しているか、声の大きさは問題ないか、
曖昧な表現をしていないか…などなど。
やはり、しっかりと繰り返し稽古を重ねて公演される舞台は勉強になりますね。
これからも自分の演技にも活かせるよう、目を皿のようにして観ていきたいと思います。
「ああ、面白かった!!」で終わってしまうことも多いのですが…(笑)。
【主宰からひとこと】
素晴らしい様々な作品を紹介していきたいし、
鑑賞の機会も作っていきたいと常日頃思っています。
「ああ、面白かった!!」で終わったって良いんですよ。
ハナから批評家目線で観劇するよりずっと素敵だと思います。
私自身、観客としてはいつでも結構なミーハーです(笑)。
ライブ中は純粋に観客として楽しんでいても、観劇後思い返して、
思わず自分の感情が揺さぶられた瞬間、
パフォーマーの何が自分を心を掴んだのか、
体感が残っている内に振り返ることが自分の演技を必ず豊かにしてくれます。
レッスンでも、名演技で実際にその俳優が使っているテクニックを
具体的に解説していますが、
多くの観客が良い演技だと感じるものには共通点があって、
その要素を断片的にでも言語化していくと
いつかそのテクニックやメンタルを自分の引き出しにすることが出来ます。
本当に出来ます。
簡単な言葉で自分で自分に説明してあげて、次に誰かの演技に心震えた時にまた・・・
人間は比較の対象がある方が、自分が求めているものを自覚しやすくなります。
今日の「ああ、面白かった!!」が必ず明日に繋がります。