「一回どんな感じか芝居見せてください」
「今のセリフもう少し重くお願いします」
「じゃあ撮っていきます」
プロダクション希楽星に所属し、いくつか現場を経験して思った事は、
祐一さんがよく話していたとおり、一回リハーサルして本番、
セリフに対する注文がざっくりな世界なんだなぁ、と実感しました。
そんな中で、自分なりに現場で自分の良い演技を出す為には?と考えました。
その結果、自分の演技プランを明確にイメージする事、
ざっくりな注文には自分の言葉で確認する事、こんな事を意識して本番に臨んでいます。
ではその為に道場では何を意識しようかと考えた時に、
まず道場でいう初立ちの完成度を意識しました。
この完成度がリハーサルに一番近いからです。
あと毎回違う演技プランに挑戦する事です。
この挑戦によって演技のイメージ力アップと目盛りの言語化を意識しています。
これらを実戦する為には、セリフや句読点の正確性が
避けては通れない道だなぁと感じている今日この頃です。
【主宰からひとこと】
全くの演技未経験から、初舞台。
次の舞台また次の舞台も踏んで、マスコミの仕事にも挑戦。
マネージャーの評価を得てプロとして活動を開始。
それをトントン拍子と誰かが云ってた声も耳にしましたが、
演技の基礎の何たるかこちらが問いかける言葉に全て固まっていた初レッスンから
毎回のレッスンを見てきた人間として
こうして「自分の使い方」、「演技の変化のさせ方」について
今は考え実現する力を付けてくれた時間が
物理的な短さに比べ、密度濃く過ごしてくれた手応えの嬉しさを感じます。
現場は始まってしまえばスポーツの試合のようで
あれよあれよと進んでいってしまいます。
スポーツの試合中に競技が上達する選手はまれで、
上手くなるきっかけは結局は訓練の中から掴んでいくしかなくて、
その事実に対し、一般的な養成所は「掴む」為の具体例と演技量の多さを提示出来ない
演技レッスンしかしていないところが多い。
その不満が、自分が例え儲からなくても
少人数長時間で具体性に富んだレッスンをしている原動力になっています。
少ない言葉、抽象的なリクエストから、その場ですぐに具体的に演技表現を変えていく、
それが私たちプロが呼ばれる必然で理由で遣り甲斐です。
シンプルなのに奥深い。
持ってる引き出しで出来てしまうように見えるけれど、
それだとすぐ底をついてしまう行為です。
現場を踏みながら自分の使い方を深めていってほしいです。