演技の喜びを探求する、俳優・声優養成所「ヴォイス&アクターズ道場」

経験(須賀大輔)

みなさんこんにちは。
星組の須賀大輔です。

10月21日から25日まで大塚萬劇場で公演しておりました、
劇団暴創族「瑠璃色花火物語」無事に終演致しました。
この状況の中、沢山の方のご来場誠にありがとうございました。

今年舞台がコロナの影響で中止になった自分としては、お話を頂き、
素敵な作品を舞台の板の上で出来たことが当たり前のことではないと実感し、
とても幸せなことだと感じることができました。
今回の作品は今までに出会ったことのないほど、
タイミング、間、目線の配り方など細かい芝居が非常にシビアで
たぶん今までで一番台本を読み返したと思います。
その中で一番印象に残ったことをお話していこうと思います。

祐一さんがレッスンの中でよく出てくる「5つの要素」というものがあります。
「大小」
「高低」
「緩急」
「間」
「音色」
今回の舞台では特に「音色」の奥深さを強く感じることがありました。

台詞の音の違いで次に相手が言う台詞、それによってお客さんが
誰に目が行って、どういう印象を受けるか。
これが全く変わってくるということです。
その音で台詞を出すことによって、その役の内面がどう動いているのか。
その見せ方、音の出し方ひとつひとつがすごく繊細で微調整が必要で、
とてもレベルの高い技術であると痛感しました。
ベテランの役者さんになると、演出家の求めてる部分に
ピンポイントでアジャストしてきて、これが「経験の差」かと思いました。
自分はまだまだ芝居も荒削りで、とにかく一生懸命にがんばることで
精一杯でしたが、これから歳を重ね、経験を積んでいく上で、
一生懸命がんばるから、人の言う台詞を聞いて、
「ここはこの音で出さなきゃダメでしょ。」という感性を
コンマの単位で分かる様にならなければいけないという、
厳しくも温かいお言葉をかけていただきました。

今回も本当に勉強になることばかりでした。
いくつになっても完璧を追い求めて勉強するというのが
役者をやっていく上で必要で、ある種の快楽でもあると思います。
今回よりも次は成長して、その次は
さらに成長していく姿勢で顔晴っていきたいと思います!




【主宰からひとこと】
舞台おつかれさまでした。
オーディションで獲った楽しみにしていた舞台が
延期になった無念はよく分かるので今回は実現出来、
千秋楽まで無事駆け抜けられたこと、大変嬉しいです。

演出家(多くの演技講師もそうですが)が繰り出す言葉は
抽象的なことがほとんどですが、表現者はそれを
自分の言葉に変換し、更に具体的事項として表出させることが出来ます。
プロとアマの一番の違いと言ってもいいかもしれません。

演技には感性が必需品ですが、感性がいくらあっても技術がなければ
残念な結果になることの方が多いです。
感性とは別に、ギターでこの形で弦を押さえれば必ずこの和音が出るように
技術が確かな方が結局は感性の揺らぎに集中しやすくなります。
演じながら反省するのではなく無我夢中で演じた後、感性と技術両面から
今の演技を振り返る習慣を持ってほしいです。

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