ヴォイス&アクターズ道場では、毎週どのレッスンでも必ず
専用音声ブースを使った声優演技の実習をやります。
声優を目指す方に
プロの現場と同じ手順で台詞量のある役をアフレコする
大変さと楽しさ両方を味わってほしいのと、
舞台や映像の顔出し演技を志望するメンバーにとっても
声の表現に自分の物差しを持つとはどういうことなのか、
逐一レクチャーしながらもう1回もう1回と
何度もマイク・ワークをすることは大きなプラスになるからです。
顔出し演技と声優の一番の違いは本番でも台本を持つ(てもよい)ことで、
記憶力が演技に及ぼす影響的にはそれは心強い味方ですが、
逆に台本を見ながら演るからこそ陥りやすい罠もあります。
・外国の実写作品の吹き替え
・外国のアニメのアフレコ
・日本のアニメのアフレコ
・オーディオ・ドラマ収録
・ナレーション収録
が毎週行う音声ブース・レッスンの5大柱です。
外画(実写作品)とアニメのアフレコの演技のサジ加減の違いなどは
それこそ経験してみないと実感出来ないもので、
アニメと実写ではこんなにやることが違うのかと驚かれることが多いです。
台本を渡して初見で台本を読んだ印象と
画面を観ての印象の違いを自覚することから始めます。
画面に合わせながらのリハーサル。まずは自己流でやってみる。
アフレコが上手くいかないケースにはいくつかの共通点があって、
それを紹介しながら、自分に当てはまるポイントがないか考えながら
何度もリハーサル、小返しを繰り返し、マイク前で収録をしていきます。
立ち位置の譲り合い、マイクを味方につける距離感の切り替えなどのマイク・ワークも
何度もテイクを重ねる実践の中で体得していきます。
外画は韓流ドラマなども手がけますが、英語圏の作品を取り上げることが多いです。
TVドラマなどで快活でナチュラルな魅力を振り撒くアイドルが
外国アニメの日本語吹き替えに挑戦したら
「何この棒読み演技・・・どうした〇〇!」
なんてネットに書かれてしまうことがありますよね。
顔出し演技時の台詞だけ聞いていると活き活き話せているのに、
吹き替えになると棒読みに聞こえてしまうケース。
これにも理由があり、解説出来ます。
僕自身が通ってきた道だからです。
英語の原音を聞きながらだからこその演りやすさは外画アフレコ仕事の大きな魅力ですが
同時に落とし穴もあります。
英語と日本語の気持ちの込め方の違い。
よく外国人が日本語は最後まで聞かないと意味が掴めないと言うのを聞きますが、
これは日本語の文章の構造の話しだけでなく、
私たち日本人が声を出す時に無意識に選択する気持ちの込め方のことも指しています。
音感の違い。
原音を聴きながらの吹き替え作業だから無意識に耳が原音に引っ張られてしまい、
抑揚に自身で制限をかけてしまうケースが非常に多いです。
そこに「台本を持って演っても良い」という本来武器になるはずの条件が
逆に「読んでる感」を助長する台詞術の特徴を強調させてしまい、
顔出しの演技で輝いている方が吹き替えを担当すると
あれ???と云われてしまう現象が起こりやすくなります。
特別なことではありません。
・音感を鍛えることと、
・原音に引っ張られた時に起こる話し方の変化の特徴
・読んでる時と話してる時の自分の何が違うのか
この3つの傾向と対策を(各人で詳細は違うので)
一人ひとり具体的にポイントを指摘し、何度もマイク・ワークを繰り返していくと
必ず人は進歩していきます。演技が変わっていくのを見るのは大きな喜びです。
アフレコ・レッスンも、収録を1回しかやらせてもらえなかったり、
台詞の数が10以下の役しか演らせてもらえなかったりすると
どうしても取り繕って自分の良いところだけを見せよう聴かせようとしがちになります。
ボリュームのある役を何テイクも重ねてアフレコ実習するレッスンの利点は
自分の演技のサジ加減を試し、失敗もいっぱい出来ることで、
失敗の遠因まで毎回各自に具体的に説明していくことが
前進のサポートになると感じています。
演技の喜びを探求する、俳優・声優養成所「ヴォイス&アクターズ道場」