演技の喜びを探求する、俳優・声優養成所「ヴォイス&アクターズ道場」

内外の差(石神貴之)

お久しぶりです。花組の石神貴之です。

現在進行中のレッスン課題で、シーンスタディで浮気者の男を演じているのですが、
情けない部分が序盤にちょろちょろ、後半にはこれでもかって位駄々漏れになってしまうという男です。
先日のレッスンが終わった後に「序盤にもそういった部分が出てくるといいですね」とダメ出しをいただき、
「アレ?内面ではそうしてるつもりだったんだけど出てなかったかな…」と思い、後で録音した内容を聞き返したところ…

はい、もちろん全然表に出ていませんでした!!!

同時に進行中のラジオドラマの課題でも、表現が小さかった結果、終盤のネタバレになってしまうような演技になってしまっていたため、
その場で慌てて修正していました。(奇しくもこちらの課題でも浮気者の男でした・笑)

そういえば普段の生活でも「あっこの内面、外に出しちゃったかな」と思っても結構気付かれていなかったりと、
自分が思っているよりも内面と伝わる感情に差があるな…と思い返しました。
観ている人に伝えるには、しっかりとしたプランと具体性がないといけないな、と改めて実感しました。
わざとらしくすればいいってものですが、ひとまずは表に大きく出す方から始めて、抑えていければと思います。

あ、でも美味しいもの食べた時のリアクションは褒められます…(笑)。
では、またお会いしましょう~。




【祐一からひとこと】
「思えば出る。」そうアドバイスしたのは宇野重吉さんで、
それはまず気持ちあっての表出こそ演技だという意味でその通りなのですが、
まぐれ当たりではなく何テイクでも必ずあるレベル以上の表現を新鮮に提示する為には
やっぱりプランとテクニックが必要になります。
それは前回出来た演技をなぞったり、説明的な表現をする為のものではなく、
読み込んだ台本なのに一瞬先に何が起こるかを知らない自分を表出させる為の
支えとなってくれる柱のようなものです。
自分の内面を流れるエネルギーをコントロールして、台詞と動きに乗せて届ける行為は
浴室のクセのある湯と水の蛇口をドンぴしゃりにひねって
心地良い温度に調整する感覚に似ています。
自分の今日の心の状態により、微調整(時にしっかり調整)が求められる。
さじ加減に慣れるには不発も多く体験すべきです。
いつでも大きく出せる、その大きさにも目盛り調整の意識が働く・・・
その方向性でレッスンをガンガンやっていきたいですね。

一回のレッスンで何回も何テイクも演技し続けられるのが道場の最大の利点です。
いっぱい試してたくさん実感してほしいです。

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