演技の喜びを探求する、俳優・声優養成所「ヴォイス&アクターズ道場」

初舞台を越えて(須賀大輔)

みなさんこんにちは。須賀大輔です。

道場に入って1年が過ぎ、4月に初舞台を迎えました。
舞台を終え、良かったこと、悔しい思いをしたこと、色々ありましたが、
今回の初舞台を経験して今後の役者人生にも大きく影響すると
感じたことを挙げていきたいと思います。

お金を払って観に来て頂くということ。舞台の話が決まるちょっと前に
初めての撮影現場も経験しましたが、舞台の話が決まる時、
それまではなんとしても仕事が欲しいと思って取り組んでいましたが、
いざ舞台の話が決まった時、「やったー」という思いと同時に、
自分の芝居を人からお金を出して観て頂くということの責任を感じました。
ましてや、初舞台で時代劇。殺陣や着物を着て芝居をすることも初めて。
そして主役であるため分量もある。
祐一さんにも、「君、大丈夫?」と何度も言われました。(笑)

しかし決まった以上やるしかないし、お客様には初めてだからなんて関係ない。
だから初めてでも経験者であるかの様に演じる。台詞の量ももちろん多い。
でもやってみなければ何も始まらない。そう覚悟を決めて臨みました。
それがお金を払って自分の芝居を観に来てくださる方々への責任だと思うからです。
祐一さんにレッスンの合間や空いた時間によく色んな話を聞きます。
その時間も今回の舞台を経験する上で非常に役に立つことが多くありました。
中でも「私の発する声は商品なんだ。」という言葉はとても影響を受けました。

舞台は全部で10ステージ、自分の呼んだお客様がいない回もありました。
自分が呼んでないお客様も呼んだお客様も等しくお客様であり、
初日のお客も千秋楽のお客も等しくお客様なのです。
商品がその時その時で仕上がりにばらつきがあってはいけません。
本当にスーパーで売られている商品だったら返品されてしまいます。
だから幕が上がったら同じ芝居をするという意味。

だからといって相手の芝居が変わっているのにいつも通りでは場は成り立ちません。
あくまでも変わらない芝居をし、その上でアドリブで相手が芝居を変える時は
それに反応して芝居を変える。このスタンスでいることが
客席側も良いものが観れたという気持ちになっていただけるのかなと思いました。
舞台を終え、初舞台でこの分量の役を演じ切ったことは大きな自信にも繋がりました。
半面、これ以下のレベルのものは商品としてお見せ出来ないという責任感。
やっと役者の「や」の字に入り込めたかなってそんな思いです。(笑)

己の芝居を磨き続けることを怠らず、まだまだテッペンの見えない、
もしかしたらテッペンなんてないのかもしれない、
役者という階段をコツコツ登っていこうと思います。




【主宰からひとこと】
初舞台無事打ち上げておめでとう!
経験の無い時代劇だし分量も多い大きな明智光秀役なので、
自分で推薦しておいて正直不安でした。
でも大丈夫という事前の予想を超えた大丈夫ぶりを舞台で発揮してくれて
本当に心から嬉しかったです。

初舞台を迎えて、リハーサルのボリュームに集中力が追いつかなくなったり、
レッスンで短い場面、少ない台詞数しか演じたことのない人は
大きな役で一作品通して演じることに対応出来なくなるケースが多いです。

「人間はやったことのないことは人前で(少なくとも)上手くは出来ない。」
それは当然で、せっかくデビューの機会を得ても実力を発揮出来ないのは辛いことです。
初めは誰でも未経験者。
だからこそ、本番さながらの環境でボリュームある役、
演じ甲斐のある質と量の台本に今度はここをこう工夫して、
今度はこのアイディアを試してと
何度も何度もガッツリ集中して演技を試せるレッスンをいつも意識しています。

密度濃い疑似体験を毎週してほしい。
今回の初舞台を観て、これからもそうレッスンしていきたいと
改めて感じられたのは喜びでした。

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