「失敗することの大切さ」(宮本侑子)
虹組の宮本侑子です。
今年からレッスンに通わせていただいています。
私は台詞を覚えるのが人一倍苦手だと思っています。
クリスマス前に参加した体験でいただいた台本のシーンスタディを、そのまま引き続きやるということで、頑張れる日はちょっと夜更かしして台本とにらめっこしていました。
すでに台本を外してやっていたみなさんに追いつこうと必死でした。
インターネット俳優・女優のみなさんの台詞の覚え方のまとめを見て参考にしつつ、選んだやり方は『全セリフを覚える』でした。
自分以外の役の台詞もなるべく頭に入れて、物語の流れだけはしっかり頭に入っているように……。
年末年始は頭の中が台本のことでいっぱいでした(笑)
そして迎えたレッスン初日。
完璧ではありませんでしたが、思ってた以上に頭に入っていました。
まずはほっとしました。
そして、今度はうる覚えだった長台詞を中心に見つつ、すでに頭に入ったであろう台詞は、わざとあまり見ないようにして1週間過ごしていました。
それでどれくらい覚えたはずの台詞が残っているのかと…。
そしたら案の定一部の台詞が抜けてしまっていました。
きっとこれは当然で、他の人からすると『あほなことしてるな』と思うかもしれません。
しかし、こうして1週間の過ごし方を色々試して自分という人間に向き合いながら『失敗してみる』ことが大切だということを学びました。
道場はこういう『試したこと』に対する失敗の繰り返しが許される場所で、それを生かせるように自分を動かした結果が1週間後にはっきりわかる場所です。
芝居だけでなく、自分のことをよく知るための場所でもあると思います。
これからも失敗したことは必ず糧にして、前向きに進んでいきたいと思います!
【祐一からひとこと】
初日記をありがとう。
知らない稽古場を訪れる緊張感は僕もよく理解出来ます。
勇気を出してはじめの一歩を踏み出してくれた方に
どれだけ充実したレッスン内容を返していけるか、いつもいつも考えています。
初レッスンで、テンポ良く相手役二人と掛け合っていてビックリしました。エネルギーに溢れて素晴らしかったですよ。
人には伸び時というものがあり、四苦八苦の仕方さえ間違わなければ努力は必ず自分に返ってきます。
「書かれた台詞を覚えて、あたかも自分がその場で思いついたかのように話す」
俳優をやっている限りこれから逃げることは出来ません。
声優の仕事では音声ブースに台本を持って入れますが、それだって少なくてもある程度は覚えていないと
思うような表現に近づけないことは、アフレコ実習で感じてくれていると思います。
どのプロの方とお話ししていても、皆さん「台詞を覚える作業が一番辛い。」とおっしゃいます。僕自身そうです。
正直、覚えて、気持ちを乗せて言えるようになった台詞をカメラやお客様の前で披露するのは、それ自体ご褒美みたいなものです。
そこに行くまでが辛いです。
覚え方の自分らしさ、また台詞の忘れ方の傾向を伝えることで
とかく辛く感じがちな台詞覚えの作業からも多くのことを学んでほしいとレッスンしています。
ある程度入った台詞をわざと見ないようにしてどれくらい残っているかを試してみる。
「あほなこと」なんかじゃ全然ありませんよ!「寝かせる」作業は僕もよくやります。
それをやることで自分が台詞たちのどの部分に共感出来ているか、
どの瞬間に役の人物だけでなく私自身もそれを言いたくなるかが見えてきます。
台詞を通して、自分の性格、思考パターンが見えてくる
自分の普段の口調、無意識に選択している日本語が見えてくる
それを伝えてやる気に応えていくのがレッスンをしている大きな喜びです。
台詞覚えの作業から我々は逃げられないので、せっかくなら活用して得るものを多くするレッスンで
現場に強い演技力を育てていきます。