演技の喜びを探求する、俳優・声優養成所「ヴォイス&アクターズ道場」

2:プロフィールと宣材写真の是非(前編)


書類選考のみやオーディションが催される場合はもちろんですが、
制作スタッフとマネージメント担当者間で直に話し合い仕事が決まる場合でも、
プロフィール(人物紹介)と宣材写真(宣伝材料写真)は必要になります。

声優の案件でも写真は必要ですかと訊かれたことがありますが、もちろん必要です。
「選ぶ方も怖い。」
これを念頭に用意することを考えてください。

以前業界では「三本失敗作を撮ると監督は監督でいられなくなる。」と
云われた時代がありました。
それは昔。現在はそれ以上です。
どんな仕事でもわざとミスして喜ぶ人はいないでしょうが、
この業界キャスティング、する方も毎回真剣勝負です。
選んだ人が良くなければ責任が派生します。
「分かってるな。」、「センスがあるな。」
と思われる自己PRや宣材写真の用意をする必要があります。

それってこういう自己PR、こういう写真、と1パターンを紹介すれば
それが誰にも当てはまる簡単なことではないですが、
具体的例を紹介することで消去法で自分のプランを練ることは出来ます。
ヴォイス&アクターズ道場では、通常レッスンだけでなく、
毎週、希望者に1対1の補講を行い、
オーディション対策、自己PR講座のレッスンをやっています。
定額月謝制なので追加料金は必要ありません。
自己PRの内容のブラッシュアップや作戦はケース・バイ・ケース。
時間外補講も本人と相談して出来る専用稽古場があることが嬉しいです。

例としてとっても分かりやすい経験談を一つ。

僕が実際に関わった江戸時代劇の娘役のオーディション。
女性で髪の毛で眉までの額全体を隠し、両エラも隠し、
髪型で顔の輪郭そのものが分からなくしている方、多いです。
それは流行もあるだろうしその方の自由なのですが、
時代劇のオーディションでそれをやるのは損です。

幽霊役ならともかく、結い上げる髪型が一般的だった江戸時代の女性役を演じる時、
本番では髪をアップにする、
顔の輪郭を出すことになるのは(特殊な役を除き)必須です。
その演技者を選ぶオーディションに、フルフェイスのヘルメットを被ったかのような
横を向くと覆われた髪の毛で表情も全く見えない、
かろうじて目鼻口は確認出来るような髪型で面接に来るのは
「分かってないなぁ。」と思われてしまいます。

面接で、ちょっと髪上げておでこ見せてもらえますか?と云われても
なかなかやらず、やっても一瞬、
眉毛が見えただけ・・・なんてオーディションを見たことがあります。
・・・・・勿体無い。
てか、ネットで「時代劇」で検索すれば
江戸時代のドラマの女性役がだいたいどんな髪型を要求されるかなんて
電車一駅の間でも分かる時代なのに。
仮に調べていたとしても、それでもフルフェイス的髪型で面接を受けに来るのは

・スタッフの立場になって創作の場に参加する
よりも
・私の欠点を隠して少しでも良く見られたい

意識が常にその方の中で勝っていることを、存在自体で宣伝している結果になります。

「分かってない。」、「センスがない。」そう思われることは致命的だと思います。
この人をこの役にキャスティングしたらどうだろう。
想像するのはスタッフの仕事で、その材料をこちらが提供するのがオーディション。
モデルの選考はまた別ですが、演技者の選考では
イメージを限定し、相手の想像力を拒否するようなやり方はマイナスです。

自分の個性、作品どんな役割を求められているのかが「分かっていない。」
自分らしさを正確に伝える、
作品に何が求められているかを読み取る「センスがない。」
選ぶ方も怖がります(後編につづきます)。

▶3:プロフィールと宣材写真の是非(後編)