お久しぶりです。花組の石神貴之です。
本当に久しぶりすぎて前にどんな日誌を書いたか…反省です(汗)。
さて早速ですが、ここ3ヶ月程取り組んできたアフレコレッスンの題材が終了しました。
誰もが知っているピクサーのCG映画「モンスターズ・インク」です。
2002年の作品で、僕も観てとても面白かった作品と記憶しています。
今回僕の配役はサリー。青色の毛むくじゃらの大きなモンスターですね。
いざ自分で演じてみるとなると、ハードルが二つありました。
ひとつは「低い声での幅広い演技」
もちろん体が大きいからといって低い声で演じる必要もなく、
「シュレック」の吹替えはダウンタウンの浜田さんで
結構高い声で関西弁というぶっ飛んだ感じでしたが、自然と受け入れて楽しめました。
が、今回相棒のマイクがお喋りで畳みかけるように喋るため、そのバランスから。
また自分で低い声で演じるのはどっしりした悪役のことが多かったため、
挑戦してみようと思いました。
もう一つは「優しい演技」
ご覧の方はご存じでしょうが、サリー優しい。本当に優しい。
先述のように低い声で悪役をする機会はありましたが、その真逆なんですね。
この二つのハードルは、レッスン開始直後はボロボロでした。
低い声に囚われて工程の幅が狭く、硬く、優しさがない…。
しかし、少しずつダメだしを受け考えが広がったり、
それをヒントに思い切って高い声を織り交ぜてみたり…と様々に工夫した結果、
自分なりに納得がいく演技プランになったと思います。
そして、画面をじっくり観て原音を聞きながら声を当てる余裕が出来てくると、
更なるハードルが見えてきました。
ご覧の方はご存じでしょうが、この頃からのCG映画は本当に美しく細かく、
素晴らしく出来ています。
ちょっとした動作や体の角度、表情や視線も非常によく作り込まれているんですね。
CGだけにその動作に無駄はなく、何かしらの意味があってつけられた動きです。
そのために、その細かいポイントをどんどんって演技に組み込んでいかないと
説得力…というか、観ていてしっくりこない。
しかも短い時間の中で目まぐるしく状況が変わって、
大声をあげて驚いたり優しく語りかけたり自己嫌悪に陥ったりと
バリエーション豊かで…。
何度もテイクを重ねていく毎に新たな気付きがあったり、
またテイクによっては今まで出来ていたことを失敗してしまったり。
最後の最後まで油断が出来ない題材だったと思います。
しかしそのお陰で「低い声で優しいキャラクターを演じられる」という自信がつきました。
自分にとって何がハードルなのかハッキリしていたため、
自分の成長を実感できてとても楽しかったです。
なんとなく惰性で演じてしまって、何を頑張ればよくなるのかわからない…という事も
多々ありますが、こういった実感は嬉しいですね。
長くなってしまいましたが、まだ他にも同時進行の一人芝居や韓国大河ドラマの吹替え、
サウンドドラマなども得るものがあるのですよ…!
忘れられない程度には書かせていただきますね。
それでは!
【主宰からひとこと】
日記をありがとう。
毎回のレッスンで何度も何度も試行を繰り返して演技向上に挑戦出来るのが
道場のレッスンの長所ですが、こうして毎回マイ・テーマを決めて挑んでくれると
レッスンの効果も著しく、
変化を実感しやすく私もレッスンの遣り甲斐が大きく嬉しいです。
声を作る、ベースになる声を決めると、それに縛られて感情の幅が狭まってしまい、
甲高い声なら甲高いトーンのままで「嬉しい。」、「悲しい。」、「悔しい。」・・・
日本語が分からない人が聞いたら、嬉しいも悲しいも同じ声の表情に感じてしまう、
そんな落とし穴にはまる方が多いです。
大事なのはそのキャラクターに合った声を自分の持つ声の中から
役のベースとして選び、そこから縦横無尽に声が飛べる幅を持つこと。
それが分かってても具体的にどうすれば良いのか分からない方に寄り添って
出来るまで繰り返しアイディアを伝えながら演技レッスンしていくのが
私の適正であり使命だと感じています。
自分がした遠回りを繰り返させたくない。
目的地が見えている方が、人はパワーが出ると思います。
ドンドン演技していきましょうね!